川崎市「稲毛神社」の概要
川崎駅から徒歩圏内に位置する「稲毛神社」は、その深い歴史と信仰の対象となる神々、そして一帯の自然と調和する美しい景観で、川崎区の見どころの一つです。
この神社は川崎区内で最も古い神社とされ、武の神として知られる武甕槌神(たけみかつちのかみ)を祀ることからもその特異さが伺えます。
また、地元の人々には「山王様」の愛称で親しまれ、その存在は深く根付いています。
本記事では、歴史やアクセス方法、神社の環境などについて、地元かわさきの専門ライターがご紹介します。
川崎市「稲毛神社」へのアクセス情報
神社へのアクセスは非常に便利で、JR川崎駅からは徒歩で約7分程度という絶好のロケーションに位置しています。
ここでは、徒歩やバスを利用したアクセス方法について詳細に解説します。
さらに、神社内および周辺の駐車設備についても触れていきます。
「川崎駅」から徒歩で向かう方法
JR川崎駅から行くには、川崎駅東口から出て市役所通りを直進します。
5分程度直進すると第一京浜の交差点があり左折するとすぐに「稲毛神社」が見えてきます。
「川崎駅」からバスで向かう方法
川崎駅東口バスターミナルから「市役所前」で下車し、そこから徒歩3分程度で到着します。
「市役所前」に停車するバスの系統は多数あり、大変多くのバスが運行されています。
特に運行本数が多いのは「12番のりば」から出るバスです。このバスのりばについて詳しくご案内します。
バス経路
経路 | 川崎市営バス「川03/04/05/07/10/13/15/21/73」系統 |
所要時間 | 約2分 |
運賃 | 大人 220円 小児 110円 |
下車駅 | 「市役所前」 |
時刻表 | 川崎市交通局の公式ページで時刻表を確認する |
川崎駅のりば案内
JR川崎駅東口のバスのりば12番から乗車可能です(朝の時間帯は11番のりばから急行バスが運行しています)。
下記案内図の中央の左⑪⑫が対象のりばです。
市バス全線(川崎病院線を除く)で、1日何回でも乗車できます。バス乗車時に乗務員へ「IC1日乗車券をお願いします」と一声かけると、カードリーダーにて処理する形で販売しています。通常のバス運賃は1回220円なので、3回以上乗車する場合は元が取れるのでお勧めです。
発売金額 | 大人:550円 小児:280円 |
利用枠 | 1枚につき1名のみ |
利用可能日 | 購入日の1日限り |
対象媒体 | 大人:大人用PASMO、大人用Suica 小児:小児用PASMO、小児用Suica |
発売場所 | 市バス車内のみ |
購入方法 | 乗車時に乗務員にお申し出ください。乗務員が車載機を設定しますので、その後にPASMO、またはSuicaをカード読取機にタッチしてください。 上記発売金額をSF(チャージ)残額から引き去ります。 |
「市役所前」のりば案内
経路 | 川崎市営バス「川05 川崎駅」行き |
所要時間 | 約2分 |
運賃 | 大人 220円 小児 110円 |
下車駅 | 「川崎駅」 |
時刻表 | 川崎市交通局の公式ページで時刻表を確認する |
車・タクシーでのアクセス
JR川崎駅東口のタクシー乗り場
JR川崎駅東口から車やタクシーで向かう場合の経路
駐車場情報
公式ホームページには明確な記載がありませんが、神社内には参拝者用の駐車スペースが設けられています。
これは国道15号線側の入り口すぐにあり、駐車スペースはおおよそ5~6台程度です。
また、駅側の鳥居付近にも駐車スペースがありますが、具体的な台数は白線が引かれていないため確認できません。
お祭りやイベント等で利用できない場合も考えられるので、訪れる前に神社への問い合わせをおすすめします。
「稲毛神社」施設・設備
本殿や拝殿、摂社、末社など多くの神社や記念碑が点在しています。
境内には大銀杏や十二支像、大鳥居などの見どころが満載で、御神水吹上井戸石枠や小土呂橋遺構など歴史を感じるスポットも。
また、天地睨みの狛犬や芭蕉句碑、正岡子規没後100年記念句碑、和嶋弁財天と曲水連歌碑など、文化的な要素も豊富です。
ここではスポットの一部を紹介します。
御神水吹上井戸石枠
かつて川崎の「吹上井戸」は、豊富な清水を湧き出し、流行病時には遠方から水垢離に訪れる人々の救いとなりましたが、工場の地下水汲み上げにより昭和初期に枯れてしまいました。
井戸の石枠は、1811年と1829年の二つの年号が刻まれ、川崎宿の旅籠屋の寄進によるものです。
この地は水が悪く、住民は長い間たいへん苦労しましたが、この井戸だけはいつもこんこんと吹き上げばかりに清水が湧いておりました。住民たちはこの井戸を「御神水吹上げ井戸」と呼び、鎮守のお恵みとして大切にしておりました。とくに、流行病のときなど、夜半に水垢離をする人が随分遠くからも来たということです。しかし、その清水も工場による地下水の汲み上げのためか、昭和の初期になると枯れてしまいました。この石枠は川崎宿の旅籠屋中の寄進によるもので寄進者の名が記されていますが、文化八年(一八一一)と文政十二年(一八二九)の二つの年号が刻まれています。勧進に十九年もかかったのでしょうか、それとも文化年間のものが破損したか不具合があって文政十二年に造りかえたのでしょうか。
「御神水吹上げ井戸石枠」から引用
正岡子規没後100年記念句碑
俳聖正岡子規の百年忌を記念し、川崎を詠んだ句「六郷の 橋まで来たり 春の風」が句碑に刻まれました。
子規は明治時代に川崎を訪れ、当時の風景を詠みました。
川崎の地で詠まれたこれらの句は、果物や麦畑といった風景を描き、地域の農業変遷を物語っています。
境内にまつられている神社
大鷲神社(おおとりじんじゃ)
大鷲神社は、江戸時代末期から明治初年にかけて創建されたとされています。
この神社では英雄神・日本武尊を祀っており、その霊が白い大鳥と化して天に昇ったという伝承から「おおとり神社」と称されています。
神社の年中行事である酉の市では、農具や鶏などが売られ、熊手や枡に縁起物が飾られます。
これは「大取り」として作物が豊かに取れ、商売が繁盛することを願う民間信仰から来ています。
子神社(ねのじんじゃ)
子神社は、江戸時代に旭町、港町の地で篤い信仰を集めていました。
明治3年には地元の人々により建て替えられ、欅の見事な彫刻と有力者の名が刻まれた台石が特徴的です。
子神社
子神社
当子神社は、江戸時代には須ヶ原にまつられていて、里人から篤く信仰されていました。明治三年、須ヶ原、久根崎(今の港町、旭町、本町二丁目)の人々によって立て替えられました。社殿は総欅造り、彫師小川清蔵による見事な彫刻がほどこされており、大石には当時の有力者の名が多数刻まれています。明治四十五年、合祀令により勧進主になっていましたが、昭和三十二年、森家の転宅の際、当所に遷座されました。なお、明治三年にはまだ川崎宿が現存していましたので、この社殿は、現存する宿場時代の唯一の建物です。
堀田稲荷神社・第六天神社
堀田稲荷神社と第六天神社はかつて川崎宿の人々に深く信仰され、特に技芸上達や安産の神として親しまれていました。
これらの神社は元々堀之内に鎮座していましたが、明治39年、川崎競馬場建設に伴い、稲毛神社境内に遷されました。
その遷宮祭は日露戦争戦勝を祝う兵士を招き、盛大に行われたといわれています。
堀田稲荷神社・第六天神社
両社とも江戸時代には堀之内にあり、川崎宿の旅籠屋、商品、芸妓たちや近郷の人々が篤く信仰していました。当時、第六天神社には他生自在天がまつられており、人々はとれを多芸自在と呼んで技芸上達と安産の神として崇敬していたといいます。明治三十九年、川崎競馬場建設の際、馬見場への通路に当たったため当地に遷されました。あたかも同年は、日露戦争戦勝の都市でああったため、凱旋兵士を招いて戦勝祝賀会をかねた盛大な遷宮祭が行われました。以後、近隣の人々によって「稲荷第六天講」が結成され、現在も毎年例祭が行われています。
「堀田稲荷神社・第六天神社」から引用
和嶋弁財天社
河崎山王社の弁天池にある島「和嶋」に鎮座する和嶋弁財天社は、地元の信仰と文化の中心地となっています。
特に神池から流れ出る小川のほとりで開催された「曲水の宴」は優雅さを誇り、当時の文化を象徴しています。
また、現存する手水鉢は1756年に奉納されたもので、その歴史を今に伝えています。
御神木大銀杏と十二支めぐり
樹齢千年を超える稲毛神社の御神木大銀杏は、かつて神奈川県指定の天然記念物で、江戸時代からの信仰の対象です。
戦火により損傷したものの再生し「平和のシンボル」にもなっています。
周囲には十二支のブロンズ像が配され、自信の生まれ年にあたる像を通じて参拝します。
このご神木大銀杏は、樹齢約1000年といわれ、当神社の長い歴史と尊い由緒を物語っています。江戸時代には東海道を旅する者に「山王さまの大銀杏」として知られ、安藤広重の「武相名所旅絵日記」などに当時の神々しい姿が描かれています。また、別の書物には「この大銀杏の周辺を回りながら願い事をすることごとく叶う。特に縁結び子授け、子育て、学問・習い事の向上に霊験があり、参拝者が絶えない」と書かれています。さらに、色紙に願い事を書いて枝に結び、葉のある頃には一葉をとって御守りとするとよい、と伝えられています。戦前は神奈川県指定の天然記念物となっていましたが、惜しくも昭和二十年、戦火を浴びて大きく損傷してしまいました。しかし、年とともによみがえり、その生命力の強さは御神霊のなせるわざと人々はいよいよ篤い信仰を寄せています。と同時に近年、平和のシンボルとしても仰がれるようになりました。昭和六十一年、稲毛神社境内整備事業の一環として、この御神木の周囲に十二支のブロンズ(制作川村易)を置き、十二支めぐりとして整備いたしました。また「十二支講」が結成され毎年例祭を行い、動物愛護・自然保護を主題とした集いが開かれています。ご自分の生まれ年の神像を通してご祈願ください。
御神木大銀杏 十二支めぐり
大鳥居
江戸時代の川崎宿の有力者たちの名が刻まれた石の大鳥居は、1718年に初めて建立され、1855年の大地震で倒壊後、1849年に再建されました。
現存する鳥居はこの2回目のものと考えられ、台座と柱の石質の違いから、倒壊した初代の台座が使われたとも推測されています。
この大鳥居は川崎の歴史を物語る貴重な遺物です。
天地睨みの狛犬
「天地睨みの狛犬」は、厄災を祓う存在とされています。
阿吽の呼吸を表すこの狛犬は、右が天を、左が地を祓う役割があるとされています。
上半身に関する願いがある人は右の狛犬を、下半身についての願いがある人は左の狛犬を撫でてから参拝すると良いと言われています。
天地睨みの狛犬
狛犬は左右が阿吽の呼吸をもって鋭い眼光で厄魔を祓うと伝えられています。この狛犬は平成のご大典記念として制作されました。右が天を祓い、左が地を祓うという意味が込められています。上半身についてお願い事がある方は右の狛犬を、下半身についてお願いごとのある方は左の狛犬を撫でてからご参拝下さい。
天地睨みの狛犬
拝殿・本殿
社務所
「稲毛神社」の年間イベント情報
年間を通じて様々なイベントが開催されています。
代表的なイベントとしては、以下のものがあります。
例大祭「川崎山王祭」(8月~9月) | 神輿が街中を練り歩く祭りで、神輿が川崎駅前を通過する「駅前渡御」が見どころの一つとされています |
新春祭(1月1日) | 初詣に訪れる人々で賑わいます |
節分祭(2月3日) | 豆まきや恵方巻きなどの行事が行われます |
春季大祭(4月) | 神輿渡御や神事などが行われます |
秋季大祭(10月) | 神輿渡御や神事などが行われます |
まとめ
今回は、「稲毛神社」の魅力を紹介しました。
樹齢1000年を越える銀杏の木があるパワースポットとしても知られています。
また、稲毛神社は、川崎市内でも最も古い歴史を持ち、年2回の大祓式や例大祭など、多くの神事でにぎわう場所です。
名称 | 稲毛神社 |
住所 | 神奈川県川崎市川崎区宮本町7-7 |
参拝時間 | 午前6時から午後5時まで |
電話番号 | 044-222-4554 |
駐車場 | 有 |
交通アクセス | 川崎駅より市営バス「市役所前」下車徒歩3分 |