「御幸公園」の概要
川崎市の御幸(みゆき)公園は、国道1号線と多摩川河川敷に面した公園です。
明治時代に梅の名所として有名になり、明治天皇が行幸された歴史があります。梅の木は多摩川の氾濫でほとんどが失われましたが、残った梅の木は美しい花を咲かせ続け、多くの人々が訪れるようになりました。明治天皇の「御幸(ごこう)」が区名の由来となり、かつては「御幸村(みゆきむら)」という村も存在しました。
現在は「御幸公園梅香(うめかおる)事業」により梅林が復活し、紅白の美しい花を楽しむことができます。公園内には記念碑もあり、地元に根差した由緒ある公園となっています。また、公園は川崎市の「川崎総合科学高校」と「御幸球場」に隣接しており、広場や遊歩道が整備されているので散策や運動にもぴったりの公園です。
この記事では、「御幸公園」の楽しみ方やアクセス方法について詳しくご紹介します。
「御幸公園」の名前には、地元の歴史と文化が深く反映されています。この地域の名前「御幸」は、かつて存在した地名であり、現在では御幸公園や御幸小学校、御幸中学校などの名前にその名を留めています。
御幸の名前の由来は、明治22年(1889年)に小向村と他の数村が合併した際に、明治天皇が小向梅林を訪れた明治17年(1884年)の出来事にちなみ、新たに設けられたものです。この出来事は、「御幸」という言葉に象徴されています。御幸とは天皇の外出を意味する言葉で、全国各地に天皇の御幸に由来する地名が存在します。
その中でも、御幸公園のあるこの地域は、かつて梅林が広がっていたことで知られています。小向村では、江戸時代の寛文年間(1661~1673)に梅が換金作物として植えられ、地域の名所となりました。この梅林は明治13年(1880年)以降、ジャーナリストの成島柳北による新聞記事「小向村探梅記」や「小向村看梅記」の寄稿により、一層広く知られるようになったのです。
御幸公園の名前は、このような地域の歴史と文化を尊重し継承するために付けられました。公園の名前には、地域の自然、歴史、そして天皇の訪問という重要な出来事を記念する意味が込められているのです。
「御幸公園」へのアクセス情報
川崎駅から御幸公園へは徒歩で約30分かかるので公共交通機関を利用するのがスムーズです。御幸公園周辺にはコインパーキングもあるので車での訪問も可能ですが、満車のリスクや駐車料金の支払いを考えると、公共交通機関を利用するのがコスパが高くおすすめです。ここでは、川崎駅から御幸公園へバスでアクセスする方法について解説します。
バスアクセス情報
JR川崎駅から御幸公園へ行くには、JR川崎駅西口「ラゾーナ広場」から出る川崎市バス「川73上平間」行の路線のバスに乗車します。所要時間は約8分で運賃は220円です。「御幸公園前」で下車して徒歩1分程度です。
「川崎駅」から「御幸公園」までのバスの経路
「川崎駅」から「御幸公園」までのバスの詳細情報
経路 | 川崎市営バス「川73上平間」行 |
所要時間 | 約8分 |
運賃 | 大人 220円 小児 110円 |
下車駅 | 「御幸公園前」 |
時刻表 | 川崎市交通局の公式ページで時刻表を確認する |
「御幸公園」から「川崎駅」までのバスの詳細情報
経路 | 川崎市営バス「川73 川崎駅ラゾーナ広場」行 |
所要時間 | 約8分 |
運賃 | 大人 220円 小児 110円 |
下車駅 | 「川崎駅ラゾーナ広場」 |
時刻表 | 川崎市交通局の公式ページで時刻表を確認する |
市バス全線(川崎病院線を除く)で、1日何回でも乗車できます。バス乗車時に乗務員へ「IC1日乗車券をお願いします」と一声かけると、カードリーダーにて処理する形で販売しています。通常のバス運賃は1回220円なので、3回以上乗車する場合は元が取れるのでお勧めです。
発売金額 | 大人:550円 小児:280円 |
利用枠 | 1枚につき1名のみ |
利用可能日 | 購入日の1日限り |
対象媒体 | 大人:大人用PASMO、大人用Suica 小児:小児用PASMO、小児用Suica |
発売場所 | 市バス車内のみ |
購入方法 | 乗車時に乗務員にお申し出ください。乗務員が車載機を設定しますので、その後にPASMO、またはSuicaをカード読取機にタッチしてください。 上記発売金額をSF(チャージ)残額から引き去ります。 |
バスのりば案内
川崎駅バスのりば
JR川崎駅西口ラゾーナ広場のりば(下図では「川崎駅のりば」と表記)から乗車可能です。下記図右上に記載されている「87番のりば」が対象のバスのりばになります。
御幸公園前(川崎駅ラゾーナ広場→御幸公園前)バスのりば
川崎駅ラゾーナ広場から御幸公園へバスで移動する場合、「御幸公園前」のバス停で降ります。このバス停は、川崎駅から国道1号を進み、東芝小向事業所を過ぎて御幸公園と丁度間の道を左に曲がったすぐの場所に位置しています。バスを降りたら、バスの進行方向へ進むのではなく、国道1号へ戻り、交差点を渡って御幸公園に向かいます。このルートが公園への最短のアクセス方法です。
御幸公園前(御幸公園前→川崎駅ラゾーナ広場)バスのりば
御幸公園から川崎駅(川崎駅ラゾーナ広場)へのバスは、公園前の交差点を(国道1号)を渡って、川崎方面に向かって歩くとすぐにバス停があるのでそこから乗車します。
車・タクシーでのアクセス
車で向かう場合、まずはJR川崎駅西口から「西口通り」を多摩川方面へ進みます。その後、国道409号線に出たら小杉方面(西方面)へ左折し直進を続けます。しばらく進むと国道1号線に出るので、ここで東京方面(右折)へ進むと、間もなく左手に御幸公園が見えてきます。タクシーを利用する場合の料金はおおよそ1300円前後です。
JR川崎駅西口のタクシー乗り場
JR川崎駅の西口には、商業施設「ミューザ川崎」前にもタクシー乗り場が設けられています。こちらは待機スペースがあるため、川崎駅西口中央タクシー乗り場に比べ利用可能な車両が多い印象があります。どちらの乗り場から利用しても、料金に大きな差はないので、状況に応じて適宜選んで利用してください。
駐車場情報
御幸公園の遊具側の入り口付近に公園が運営する駐車場があります。総駐車スペースは17台あり、そのうち14台は有料施設(御幸公園)利用者専用、一般公園利用者向けに3台が用意されています。ただし、利用には御幸公園管理事務所への事前申請が必要で、利用時間も細かく設定されています。また、第2・第4水曜日は利用できませんので近隣の有料コインパーキングの利用も検討してください。
「御幸公園」で家族が楽しめる施設・アクティビティ
公園の遊具
遊具広場には公園を象徴するものとして「タコの滑り台」が設置されています。この滑り台は長さが10メートル、奥行きが5メートル、高さが4.5メートルという大きさで、対象年齢は3歳から12歳までとなっています。この滑り台の特徴は、”タコの足”を模した滑り部分がそれぞれ異なるカーブや傾斜を持っていることで、子どもたちは同じ滑り台でも様々な滑り方を楽しむことができ、飽きることが無いよう工夫がされていることです。「もともとは美術系大学の学生がデザインした八面体の遊具が起源で、その模型はアート彫刻のようだった」と前田環境美術(東京都渋谷区)の制作担当者は語っています。「子どもたちに親しまれるようにと、デザインを練り直し、現在のタコの形に落ち着きました」とのこと。
「タコの滑り台」が目立つ遊具広場には、鉄棒などの遊具で子どもたちが楽しめる空間にもなっています。また、公園の東側には、健康器具も配置され、健康的な運動を楽しむ大人にも配慮がされています。さらに、川崎市が文化施策として推進しているバスケットゴールも設置されており、スポーツ関係者にも魅力的な公園となっています。
梅の名所 明治天皇が観梅のために行幸した地
「明治天皇臨幸御観梅跡」は御幸公園内にある名所旧跡です。その歴史は寛文年間(1661-1673)にさかのぼり、当地で盛んに梅の木が植えられており、その梅林は、春になると花が咲き、見物客でにぎわう有名な観光地でした。明治17年に明治天皇が観梅のために行幸した地であり、その事を記念して建てられた碑が今でも公園内にあります。
説明板の内容
資料提供 川崎市教育委員会
この梅林は、江戸時代の初め寛文のころ(17世紀中頃)に植え始められたもので、その果実は梅干として200余年の間、江戸の市民の食膳にのぼっておりました。しかし、30ヘクタールもあった「しろが梅」の林も、明治初年の多摩川のはんらんで、3分の2以上を失ない、加えてその頃には老樹となっていたため、果実の収穫も激減してしまいました。明治13年2月、成島柳北がここを探勝し、「小向観梅の記」という一文をおこし、「一村尽く梅で夜はいわゆる天地一白、燈を点せずして車を挽くを得べし」と紹介してから、一躍梅の名所としてその名を天下にとどろかせるにいたりました。明治17年3月19日には、明治天皇が観梅のため行幸になり、のち明治23年小向村他数か村の合併に際しては、この光栄を記念して、村名を御幸村と名づけました。
広大な芝生、散策路、そしてスポーツ施設
「御幸公園」の便利な施設
トイレ
公園管理事務所横にトイレが設置されています。車いす用のトイレも完備されています。
自動販売機
公園管理事務所のトイレ近くには飲料の自動販売機が設置されており、スイカなどのICカードによる決済も可能です。
水飲み場
公園内には2か所の水飲み場が設置されています。公園で遊んだり、散歩や運動をした後の水分補給、野外での食事や遊具で遊んだ後の手洗いに利用できます。
まとめ
「御幸公園」の見どころ、アクセス方法、さらに子供から大人までが楽しめる施設について本記事で詳しくご紹介しました。
歴史的な名所である「明治天皇臨幸御観梅跡」、子供たちが喜ぶユニークな「タコの滑り台」、健康維持に役立つ健康器具、そしてバスケットゴールなど、御幸公園はさまざまな年齢層の人々が多様なアクティビティを楽しむことができる場所です。
ぜひ一度、明治天皇が訪れたとされる梅林の名所であり、川崎市「幸区」の名前の由来ともなったこの公園を訪れてみてはいかがでしょうか。
名称 | 御幸公園 |
住所 | 幸区東古市場1 |
電話番号 | 044-511-2612(御幸公園管理事務所) |
駐車場 | 17台:有料施設(御幸球場)利用者専用14台、一般公園利用者3台(身障者用1台含む)。 |
トイレ | 有(多目的トイレ完備) |